「去年まで働いてたんだよ…‥内職と、近所のお好み焼き屋で」 そんな。 …‥そんな。 「でも、幾らか貯えがあるだろう?」 ふるふると頭を弱く振り、老婆はゆっくり立ち上がり、鞄の中をごそごそと掻き回すと、通帳を差し出した。 残高 ¥924,- 今度は床が、天井が回る。