「そうか、保孝も、もう、そんな歳になるんだな」


お父さんは僕の頭から手を離すと優しく僕に話し始めた。


「保孝は、生まれた時は2300グラムって言う未熟児で、とっても小さな赤ちゃんだったんだ」


「へぇ、ぼく、小さく生まれたの?」


「うん、そうだよ。それからが大変でね。やれ、熱を出したり、おなか壊したり、ひきつけたり。小児病のお手本みたいな子供だった」


「――お父さん、僕を育てるの大変だった?」


お父さんは、僕の顔を暫く見詰めてから、ゆっくりと頭を横に振った。