「え〜では転校生を紹介する。花風、入れ。」
先生の声と共に教室に入った私。
大学の講義室を縮めたようなその部屋で、私は一番端で肘をついて外を眺めている咲夜君を見つけた。


「あっえと、花風鈴です。よろしくお願いします。」
私はあの人…咲夜君を見つめたまま言った。

「花風、この学校は自由席だ。空いてるとこに座っとけ。では、これでHRを終わる。」
先生はそう言うとすぐに教室をでていった。
途端に騒がしくなった教室。けっこう普通の高校生みたいだ。


「ねぇねぇ花風さん。ココ、座らない?」
「いや、こっち座れよ花風。」
現在空いてる席は5つ。それぞれの席の隣の人が誘ってくれてる。
でも私はまっすぐに、一番後ろの窓から二番目、咲夜君の隣に座った。
「あの、よろしくね?咲夜君。」
咲夜君は私をちらっとだけみて、再び外に視線を戻した。
他のクラスメートはなんだか苦しそうだけど、なんでなのかな?



キーンコーンカーンコーン

チャイムがなると同時にみんな一斉に移動を始めた。

「えっと、一時間目は…」
私がそう呟きながら時間割表を探していると、横から声がした。

「一時間目は自習。」
咲夜君が立ち上がる。
「お前の自習室は402.4階右から2番目。」
そのまま彼は教室を出て行った。


彼は本当に不思議な人だ。

「はやく行こっ。」