「まだ傷が残っているんだと思う。」
「もしかして病気の原因って・・!!!」
「多分、そうだと思う・・・僕も青空もあの日々を全部忘れてしまいたかったんだ。」
一瞬風太さんの空き缶を持つ手に力が入った。
まったく僕には想像も出来ない。
「お兄ちゃん・・来てたの?」
青空が目をこすりながら会話に入ってきた。
「ああ。それより身体大丈夫か?」
風太さんは青空の頭をくしゃくしゃとなでた。
青空は嬉しそうに笑っていた。
それは一度もみたことのない青空のもう一つの笑顔だった。
「平気だよ。お兄ちゃんお仕事は?」
「休んできた。だからしばらくは一緒にいられるからな。」
「ねぇ・・・お兄ちゃんなんか私ヘンなの・・。」
「ん?」
「頭の中がもやもやしてなんか大事なこと忘れてる気がする。」
まさかと僕も風太さんも思った。
また失ったのか?
次は何を失った?
「ねぇ。お兄ちゃん・・・・」
青空は僕を指さして言った。
冷め切った瞳で・・・
「あの人誰??」


