だけど、藍が望むのは、椿姫が心の闇から解放されることだった。幸せになってほしいと思っていた。
だが、彼女は自分を「幸せになる価値などない人間」だと思っている。
自分を責め続けている。
罪悪感に負けてしまっている。
罪悪感ほど、人の気持ちを揺り動かすことはないのかもしれない。
でも、本当に彼女は、幸せになるに値しない人間なのだろうか。
藍はそんな事はないと思うようになっていた。
たとえ、どんな罪を犯したのだとしても。
「人殺し」だと聞いた後も、藍は椿姫を怖いとは思わなかった。
その言葉を信じてないわけじゃないが、「過失」か「事故」だったのではないかと思っていた。
動機があったとしても、人殺しなんてする人ではないと信じていた。
「今日もいい天気ですね」
「そうだな」
「明日もいい天気みたいですよ」
「そうか」


