こころの展覧会

6人は、近くのお寺へと歩いた。椿姫を先頭にして。その隣を、皐月が日傘を、椿姫の為にさしていた。椿姫の荷物も皐月が持っている。皐月は椿姫に対して、いつも甘い態度だった。

椿姫という人は、高慢で頑固者で、人使いの荒い人。でも、優しさもちゃんと持っている人だと藍は思っている。言葉はあまりないけれど、自分の力で答えを出せるのを、見守っていてくれる人だから。

お寺に着くと、木蓮と松詠がお墓掃除を始めた。柊は花を変えて、整え、椿姫は皐月に日傘を差してもらいながら、一歩後ろから、その墓標を見つめていた。

「誰のお墓なんですか?」

「私達の師の墓だ」

藍の問いに、椿姫は墓標を見つめたまま、答えた。

「あたしたちはね、子供の頃、この人に絵を教えてもらっていたのよ」

と、皐月が付け足した。

「どんな先生だったんですか?」

「私の唯一尊敬している人だ。母親のような人だった」

言って、椿姫は僅かに目を細めた。