「なんだよ。結局泣いたのか。」


サボは煙草を噛み締めながらニヤニヤと笑いました。


「あの時絶対泣き出すと思って見てたのに、お前泣かないんだもん。
つまんねえと思ってたらやっぱ泣いたんだ。」

「サボ、やめなさいよ。まったく・・・。」


悪態をつくサボにイオが注意をします。


今日も私たちは図書室のいつもの場所でお喋り。
シーナは荷造りやら手続きで忙しいらしく、ここ最近は学校を休みがちです。
仕上げたい絵もあるようで手が離せないのだとか。

なので今日はサボとイオとお話をしています。

私はこの前のことを全て話しました。


「スケッチブックの他に、この本も貰ったのです。」


私はそう言って一冊の本を出しました。

シーナが好きな本の中の一つで、私に読むように勧めてくれたのです。
なんでも主人公が私に似ているとか。

本当は本を読むのは苦手でしたけれど、有り難く頂戴して今は少しずつ読み進めています。


「“長い日曜日”?またマイナーな本選ぶよな、あいつ。」


サボはタイトルを見て鼻で笑いました。


「もう、なんでそういう言い方しかできないのよ。
本当サボって子どもみたい。
寂しいなら寂しいって正直に言えばいいのに、そうやって強がったりして。」


「全くですわ。
サボも何か貰ったらどうです?」


「別に寂しくなんか無えよ!
ごちゃごちゃ五月蝿えな・・・お前ら。」


そう言ってサボはそっぽを向いてしまいました。


おそらく一番寂しいのはサボなのでしょう。

きっと私よりもシーナとの別れを悲しんでいるはずです。