サボは最後にお姉様のことについて言いました。

ずっと聞けなかったことを、サボ自身が話しだしたのです。


「俺、姉さんのことそういう対象としては見てなかったのかもしれねえ。」


そういう対象とは、きっと恋愛対象ということでしょう。


「たぶん母さんと同じような“好き”なんだと思う。
独り占めしたいかったんだな、きっと。

本当ガキだよな、俺。

おもちゃ取り上げられたガキと一緒だったんだ。
マジだせえ。」


自傷気味に笑うサボ。

けれどその笑顔はどこか余裕があるように見えました。


「あとさ、俺クスリやめるから。きっぱり切る。」


サボはそれで本当に全てを吐き出したらしく、晴れやかな表情でシーナの家へと去って行きました。

最後の言葉が私の胸に響きます。
そのたった一言が、本当に嬉しかったのです。

きっとサボはシーナに同じことを話、シーナは私と同じような気持ちになるのでしょう。





サボは自分のことを卑下していましたが、ちっともダサくなどありませんでした。

寧ろ輝いて見えます。


けれどそれを言うと何か言われそうなので、私は胸の内に秘めておくことにいたしました。