その日の晩、私はお母様と一緒の布団で眠りました。
久しぶりでほんの少し恥じらいがありました。

お母様は暖かくて、懐かしい匂いがし、とても心地よく眠りにつけました。

私、本当にお母様が大好き。
そのことを今、実感いたしました。




 次の日私は帰宅の準備をし、お母様にさよならをしました。
見えなくなるまで、お母様は私にずっと手を振っていてくれました。

きっとすぐに会えますわよね?

心の中でそんなことを呟き、私を乗せた車は空港へと進路を進めます。


空港で帰りの便を待っていると、私の目にある物が飛び込んできました。
見ず知らずの人が読んでいる新聞。
そこに、想像だにしない文字が大きく書かれていたのです。



“Chocolatラディ The Sadistic Loveケンゴ 熱愛!!!”



私はその記事を信じることが出来ず、すぐに付き人の方に新聞を買って来てくれるように頼みました。

そんな報道、芸能人のスキャンダルなどどうでもいいことです。
私には関係ありません。


けれど妙に胸騒ぎがしたのです。

サボがどうにかなってしまうのではないか、と。



私は付き人の方から新聞を受け取り、すぐにその記事を読みました。

すると携帯電話が私のバッグの中で震えだします。
私は急いで取り出して通話ボタンを押しました。


『マコ!?よかった・・・。ずっと繋がらなかったから困ってたんだ。』


電話の向こうの声はシーナ。
何だか焦っているようで、妙に私の心拍数が上がります。


「シーナ?どうかしたのですか?」


お願い。どうか何事も起こらないで・・・。

私は心の中でそう願いました。


『マコ、あの報道見た?サボのお姉さんの・・・。』


嫌な予感がします。


「ええ・・・。熱愛報道ですわよね?」

『うん。それでちょっと気になってサボに連絡したんだけど、全然繋がらないんだ。
メールも電話も駄目で・・・。
今サボの家にいるけどいないし、実家の方にもいないみたいなんだよ。』


私は目を瞑りました。


『サボが、見つからないんだ。』