エーマリリスさんの家には、噴水のある中庭があった。そこにある白いベンチに、アイワイさんは腰掛けていた。
「こんにちは。」
まず、リーグが声をかけた。
「あ、こんにちは。えっと、リーグさんでしたっけ?」
「名前覚えててくれたんですか?」
一瞬、リーグは期待した。
「えぇ、よくある名前ですからね。もう一人のお友達は、あまり聞いた事のない名前だから・・・覚えてなくて・・・。」
期待ははずれた。
「やっぱ、イバーエって珍しい名前ですからね。俺もあいつ以外に知らないし・・・。」
「イバーエ、イバーエさんですね。もう、忘れません。」
彼女は笑った。
「ところで、リーグさんは何で此処に?確か、父の仕事を手伝うはずじゃ・・・?」
「はい、そうなんですけどね。俺はあいつと違って、言術が使えないから・・・正直、あんまり手伝う事ないんですよ。で、お使いを頼まれたんですけど、このお屋敷大きいでしょ?迷っちゃって。」
また、彼女は笑った。ただ、さっきと感じが違う。
「それでサボってるんですね。いけないんだ。私もリーグさんと一緒にいるところ見られたら、父に怒られちゃいますね。」
「そ、そうですね・・・。エーマリリスさんって、やさしそうなのに怒るとムチャクチャ怖いですよね。」
「ふふふ・・・。父はそんなに怖いですか?じゃ、私が父の所まで案内して差し上げますわ。」
アイワイさんはスッと立ち上がった。