気付けば溺愛

「痛いっ」

不意に現実にかえる痛みを胸元に感じる。
知らないうちに拓真の唇は、そこに移っていた。
浴びせられたキスのせいでぼんやりしながらも、その痛みがなんなのかは、すぐにわかる。

胸元が深く開いたドレスをまとった私の体に赤い花をちりばめて。
視線を上げた拓真の目は、怒りと切なさが混じっていて、私にはどう受け止めていいのかわからない。

じっと私を見る拓真は、普段見せない冷めた表情で。

「こないだ俺に抱かれた事も、関係ないの?」