少し離れたところに、見覚えのある男と知らない女を見つけた。

ホテルに入ろうとしている。


「親父…!!」


大声で叫んだ。

入らせたくなかった。

もうこれ以上、おふくろを悲しませたくなかった…

オレは二人の前まで走った。

親父は焦って聞いてくる。


「良…!?お前なんで…」

「親父こそ何やってんだよ…」

「いや…これは…」

「こんなときに何やってんだよ!?」


オレは親父の服を強く掴んだ。

初めて親父につかみかかった。