「おはよ」
「お早う、セレス」

朝食を食べ終わった後、俺とアメスは図書館へ向かった。
オニキスは悪いが、お留守番だ。

爺さんがいつも使う机の上には
積み上げられた本が、沢山のビルを作っていた。
これ、正面から見たら爺さん埋まって見えるわ。

散らばっている紙を適当に纏めながら
爺さんはいくつかの本を俺に渡した。

「それは西側の中央の3段目、こっちは右から2番目の4段目」

「ははっ、よく覚えてんな」

「覚えとかんと、お前が片付けれんじゃろ」

最初から俺が片付けるの分かっているような言い方。
でも、俺はこれくらいでしか恩返し出来ねぇもんな。

机の上にはまだまだ本が積み上げられている。
この中から10冊くらいはこのまま置いておくんだろうけど
量が凄い‥

「アメス、これ持てれるか?」

俺が持っているのはたった5冊だが
大きくて分厚い、歴史書だ。

「この位大丈夫ですよ」

そういってアメスは俺から本を取った。
受け取った時にちょっとよろける。
本当に大丈夫なんか?

「‥アメス?」

「あぁ、さっき行っていた連れだ」

本が邪魔でアメスが見えないのだろう。
爺さんは体を傾けて、アメスを見た。


「初めまして、アメスといいます」


礼儀正しくお辞儀をするアメスに、
途端、見開かれる目。
‥何だ?

「‥爺さん?」

「い、いや、何でも無い」