耳元で囁かれた言葉にチャロを見ると、
だから今は何も言えない、と困った様に笑われた。
チャロの言う奴等が何を示しているかは
直ぐに分かったけれど‥
「だったら、俺に話してくれたって‥」
「‥ごめんなさい」
俯くチャロの表情が曇ったのが分かった。
前にも一度、『綺麗にした』の意味を訊こうとして断られた。
そこまで言うから誰にも言えない程、
大事なコトなんだっていう事は分かるけど
せめて俺には話してくれたっていいのに。
いやいや、焦ったらダメだ。
「んじゃ、俺、話してくれるまでまってるかんな!」
ニッと笑ってチャロの頭をちょっと強引に撫でると
チャロはまた困った様にしか笑ってくれなかったけど
その後はずっと俺に寄り添っていた。
「‥ちょっと、いいかのぉ?」
朝の仕事が早くて、うとうととしていると聞こえてきた声。
柵に動物園に来て好きな動物をみた子供の様にしがみついている爺さん。
「うぉわ!!‥な、なんだよ」
「おいおい、もしワシじゃない奴がきてそんなところ見られたら危ないぞ?」
「や、でもここに入る前の扉の鍵閉めてっから‥って、なんで爺さん入れてんだよ」
「ここはワシの家じゃ。館内の鍵は全て持っとる」
「あー、成程?」
俺により掛るチャロは、夢の中に落ちているみたいだ。
スースーと聞こえる寝息に、俺はゆっくりとその頭を膝に乗せた。
座ったまま寝たら、起きた時に腰が痛くなるもんな。
何度も任務とかで経験してるから。
「で、どうしたんだこんなところにまで来て」
柵を開けて入ってきた爺さんは、俺に一枚の書類を手渡した。
クリーム色の紙、一番に目に入ったのは最高監理官の赤い判子。
「爺さん、コレ‥」

