「不審‥とは?」
「俺たち以外に、誰もいなかったんだ」
「‥誰も?ならお前たちは何処にいたんじゃ」
「ここ、治安署の爺さんの部屋だったところで俺は寝てたぜ」
「治安署は、受付には絶対に人がおる筈‥」
「それだけじゃなくて、動物も何もいなかったんだ」
そう、本当に俺たち2人だけだった。
誰もいない、何もいない。
その中で‥
「それで、町外れの教会のとこの森に連れられて‥、湖に飛び込んだら‥」
「‥湖?教会の後ろの森に、湖なんてあったかの?」
「ああ、それで気が付けば、爺さんがいて‥チャロが、何処かへ行って‥」
「チャロがあの時近くにおったんか?」
「髪をバッサリ切って、短くしていたぜ」
「‥‥そうじゃったんか」
吐かれた言葉は、俺の言葉に対する了解の意味の様ではなかった。
何かに、気づいた様な言葉。
「お前が戻ってくる前の日の夜、チャロはわしをまた訪ねてきたんじゃ」
その時もお前の居場所をしつこく訊いたんじゃが
どうしてもチャロはその事に対して口を開こうとはせんかった。
ただ一言、
『なおしかたは、わかったから』
そう言って、悲しそうに笑った。
『おじいちゃん、おねがいがあるの』
『‥何じゃ?』
『わたしのせいでね、セレスにも“かぞく”がいなくなったの』
『‥‥』
『だからおじいちゃん、セレスのことかぞくにしてあげて?』
『それは構わんが‥』
そう言うチャロの様子がおかしい事は、直ぐに分かった。
何か、嫌な予感はしていたんじゃが、
それがどういう予感かはっきり掴めんくてな。

