数週間後。

中山が遺体で発見された。

その近くには、中山が付けたと思われる日記が残っていたらしい。



―○月△×日。

 今日は山梨県方面に歩いた。

 だが、そこにあったのは…海だった。

 東京にあるはずのない海。

 これで一周はしたはずだ。

 だが、逃げ道は何処にもなかった。

 俺達はもう、逃げる事が出来ないらしい。

 やってられねぇー。

 食料もそこを尽きた。

 この先、どうなるんだろうな…。



―○月×△日。

 軍兵を見た。

 奴らは不思議な格好をしていた。

 あれは何処の国なんだろうか?

 今まで見た事のないマーク。

 もしかして、俺は夢を見ているんじゃないだろうか?

 早く覚めないかな?

 もう…




そこで日記は終わっていた。

皐は中山の日記を抱きしめた。


「ありがとう…」


そう呟いて…。

次の日に、中山の遺体は近くの海に投げ捨てられた。

東京はコンクリートばかりで、埋める事が出来ないらしい。


「バイバイ…中山。」


皐は制服のリボンを海に向かって投げた。

そして、海に向かって手を合わせた。

無事に天国へ行けますように、と。