「早っ!!お前、ちゃんと拭いたのかよ!!」


「うわぁ!!」



男子トイレの前にしゃがんでいた人影が立ち上がって私の肩に触れた。



「ふ、拭きましたよ!!」




佐倉さんが待っててくれた。




「待っててくれたの?嬉しい~!やっぱり佐倉さんは優しいんだね」



「待ってねぇよ。しかも、俺、優しくねぇし!」



「うっそだ~!!」



「酒運ぶの手伝ってもらおうと思っただけだよ!!」





電気を消したせいで、また真っ暗になった。


誘導するように、私の背中に手をそえてくれた。


もうそれだけで、心臓が物凄いドキドキしていて、顔が熱くなる。