子供の頃以来だ。 漕ぐたびに、あたしの横を気持ちいい風がとおりぬける。 まるで、あたしの涙を奪い去っていくように。 そして、だんだん涙がひいてきた。 「先輩、ブランコって不思議ですね。」 「だろ?」 そう言って小さくはにかむ。 「また泣きたいときは、オレに言えよ。 いつでもブランコ、つれてってやる。」 「あははっ、ひとりで行けますって笑」