さてと!まずは未有を保育園までつれていかないとな。

未有の保育園はちょうど家と高校の中間点にある。
毎日通ってたけど、まさか自分が送り迎えすることになるとは……。

「未有はお友達は、誰と仲いいの?」

無言になるのもどうかと思うし、おれは何気なく聞いてみた。

「えっとねぇ、まきちゃんとー、るみちゃんとー、こうくんとー、だいちゃん!!
でもねぇ、いっちばんすきなのははやとくん!!」

……なに!?
未有のボーイフレンド!?

「へぇ……、はやとくんって子と1番仲良しなんだ……?」

「うんっそーだよ!
はやとくんね、おうたもおどりもじょうずなんだよ!!」

にこにこ話す未有の顔は恋する乙女そのもの。

さすが、母さんの娘。
でも、なんかフクザツ……。

「でもねぇ、はやとくんとってもにんきでね、
あやちゃんも、りっちゃんもすきなんだって!」

「ふぅん…そうなんだ」

最近のちびっこはませてるよなぁ…
女の子だから?

「でね、でね…!」

そのあともしばらく未有は『はやとくん』について話しまくっていた。
未有……、お兄ちゃんはついていけないよ。

自慢じゃないけど、てゆーか、言うべきことじゃないんじゃないかって話だけど。

おれには彼女がいたことがない。
女の子に興味がないわけではない。

一応健全な男の子だし?

つーか、致命的なのは
モテない!
ってことだと思う。

よく、ダチたちに
“きれいな顔してる”、“うらやましい”
とか言われたりするけど……

ぶっちゃけどこが?
ってかんじなんだよな。

目も鼻も顔もみんな丸っこいし!
目なんてやたらでかいだけで、視力がいい訳じゃないし!

この顔のせいで、何度女に見られたことか!

おれはこう、もっとキリっとした男前の……って、そんなことはどーでもいいんだけど!!

たまーに、知らない女の子から道端で話かけられるけど……男子高ゆえに女の子に免疫のないおれは、すぐに逃げていた。
まぁ、中学までは共学だったけど。

今思うとあれって……

道を聞きたかったのかなぁ?
そうだったら悪いことしちゃったな。

うーん。
かわいい女の子とデート……憧れるよなぁ。