「…長くはないだろうって言われたよ。
ごめんな心配かけて。」
『…父さん』
「ん…?」
『父さんに貰ったギター壊されちゃった…。』
ベッドに近づき、今日のことを話した。
父さんは一通り話を聞くと、傷だらけの僕の顔をみながら「そうか…」と呟いた。
『うん…。』
静かに椅子に座り、俯いていると、父さんに名前を呼ばれた。
「りょう、家に帰ったら父さんのギター一本好きなの持ってっていいぞ。」
『え…』
「どうせもう弾けないんだ。だったら弾ける奴に弾いてもらった方が、ギターだって喜ぶだろうし。
あと、他のギターも時々手入れしてやってくれ。」
『(まるで今すぐいなくなるみたいな言い方)分かった。』
それから少しばかり沈黙が続いた。
「─…なにもしてやれなくてごめんな。」
その言葉に頭を振ると、父さんはゆっくり話し始めた。
「家は代々ギター弾きでな、父さんも小さな頃はよくギターを弾いて遊んでたんだ。
りょうが俺の後を付いてきてたように、俺も親父の後を付いて回ってた。
お前のおじいちゃんは、俺に一切ギターの弾き方を教えてはくれなかった。


