へたくそなギター弾き

今宵の月のように… この歌はなんとなく俺に似てる。
「くだらねぇ」と呟いては、心のどこかで気にしてた。


がむしゃらになって弾いたギター。
何度指の痛みに耐えただろう?
思うように行かないからと、勝手にイラついてギターを遠ざけた日もある。


それでも食らいつくのは、やっぱり父さんを越えたいと思っていたからなんだと今更気づかされた。
きっとあの日、へたくそなんて言われなければ、僕はこんな場所にはいなかった。


そして、琉歌にも会うこと無く街ですれ違っても気づかなかっただろう。
人はひとりじゃ生きれない。
こんな言葉嘘だと思っていた。
だから俺は、知らぬ間に1人で生きてきたような顔をしてた。


父さんや母さんに支えられ、たくさんの愛をもらっていたはずなのに、そのことすら当たり前に感じ、思い 時にウザったいと暴言を吐き家を飛び出しては、行く場所もなく結局家に帰る。


2人は何事もなかったように「おかえり」と笑っていた。
その笑顔に救われていたことも、僕は忘れていた。


俺達も、この月光のように、いつか輝ける日が来るんだろうか?