へたくそなギター弾き

キラキラと月の光が、僕を照らした。
僕は父さんのギターを弾きながら、あの日の出来事を淡々と振り返っていた。


何十本とあるギターの中から、このギターを選んだ時、少しプレッシャーを感じた。
それと同時に、(もう一度、頑張ってみようか…？)とも思えた。


でも、それはもう少し思い出を振り返ってからでも遅くはないよな？
だから、もう少しだけ僕の話に付き合って…
拙い言葉だけどさ…──



僕は正直あの話を聞いて、ホッとしたんだ。
父さんも僕と同じだったんだ!って嬉しかった。
でも、僕と父さんの違いは未だ分からない…
同じ苦しみ 同じ葛藤
同じ目標を持ってたのに、僕は知らない内に逃げ出していた。


向き合う事もせず、向き合おうともしなかった。
父親という存在が、僕には少し重すぎたんだ。


希望に満ち溢れ、明日がキラキラ輝いていた子供の時分とは違う
誰かの言葉に傷つき、誰かを言葉で傷つける。
弱いからと拳を振り上げ、権力を振りかざす。


僕はそんな心すら持ってはいない。
バカバカしい…
そう思いながら生きてきた。
人をいじめて何が楽しい？
自分を傷つけて何が得られる？