「ここで私の兄は松浦を殴ったのよ。」 「…知ってる。」 「そう。でも、あなたは知らないわ。本当のことは何も。」 うわ言のように言う安永に一歩だけ歩み寄る。 途端、「近付かないで!」と厳しい声をあげる安永に、俺は歩みを止めた。