ラスト プリンス



「んーーーっ!!!」

 普通だったら、肩とか背中とかに腕が来るよねっ?!
 なのに、がっちり両手であたしの頭を固定するって……若干、軽い殺意を感じるんですけどーっ!

「デザイン、書いたか?」

「うん。バッチリ」

 どうしてっ?!どうして、カイさんあたしのことスルーなのっ?!

「…………よし」

「耕太と梨海ちゃん、相変わらず仲良いね」

 ど、どこをどう見て仰ってますーっ?!

 抱きしめられてるならまだしも、軽い殺意の下、窒息手前まで追いやられて、両手をバタバタさせてるあたしを見て、そう思ったのなら。

 ぜひ、眼科……いや、脳外科をお薦めしますぅーっ!!

 やっと解放されたあたしに手渡されたのは、茶封筒。

「行け」と。 まるで愛犬にボールかフリスビーを投げた飼い主のように、そう吐き捨てた耕太は、カイさんの斜め前にある自分のデスクに腰を下ろした。

 茶封筒に視線を落としながら、帰ってきたら反撃してやる、と心に誓い、ブレザーを着た。