「ねぇ、カイさんっ。あたしの結婚式の時、ドレス、デザインしてくれる?」
“幸せな結婚”を夢見る乙女って見えてるかしら?
まあ、演技は上手いほうだと自分では思ってるから、大丈夫よね?
「もちろん。梨海ちゃんの綺麗さが際立つようなドレス、考えるよ」
わあ、嬉しいっ、って顔全体に出てると思うの。だって、演技じゃなくてホントに嬉しいから。
「ありがとうっ。カイさ――」
「こいつのどこが綺麗なんだよ。カイ、眼科行ってこい。で、原因不明なら脳外科行け」
あたしを幸せの絶頂から蹴落としたのは、歪んだ性格の藤野耕太。
振り返って下から睨み上げるあたしの顔に手のひらを乗せて、そのまま掴んだ。
「ぎゃっ!?何すんのよーっ!」
「うるせぇ。黙れ、子猿」
「子猿ぅーっ?!あたしのどこ見て子猿って言ってんのよっ」
「黙れっつってんだろ」
視界が晴れて明るくなったと思ったら、再び目の前が真っ暗になり、鼻を掠めるさっぱりしてて男っぽい香り。
何っ?! 抱きしめられ……いや、違うぞっ。抱きしめられてるんじゃなくて、押し付けられてるんだ!!

