ラスト プリンス



 黒縁眼鏡の彼は、あたしを上から下まで舐め回すように見た後。

「どう見ても高校生だろ」

「高校生なの?まあ、ドレス見てく?」

「……え?あ、はい……」

 その何とも言えない笑顔に断れきれなかった。

 じゃあよろしく、と笑顔が素敵な男性は黒縁眼鏡の人に、ことさら柔らかい笑顔を向ける。

 …………は?

 笑顔が素敵なあなたが案内してくれるんじゃないのっ?!

「はあ?カイ、何で俺が――」

「僕は村上海(むらかみかい)。ホントは僕が案内してあげたいんだけど、生憎暇じゃなくて」

「そうなんですか?じゃあ、あたしは――」

「いいのいいの。気にしないで。ちょうど暇人を見つけたから」

「俺が暇人だって?」

「うん、そう。この黒縁眼鏡は藤野耕太(ふじのこうた)。適当に使ってもらって構わないから」

「いや、悪い――」

「いいよね?耕太」

 藤野耕太は、はぁとため息をつき。

 社長の命令じゃ仕方ないか、と眼鏡を直しながら吐き捨てた。

 そんなに嫌なら断ればいいのに、と思ったけどさっき『社長』って言ったわよね?

 じゃあ、断れないか……。