ラスト プリンス



「そうだよね。バイト、休んだら耕太が寂しいもんねっ」

 ぎゅっと耕太の男らしい腕に抱きつけば。

「バカにバカって言っても仕方ねぇな」

 抑揚のないその一言に、あたしは頬を緩ませた。

 ひどーい、と笑いながら耕太の腕から離れ、空を仰ぐ。

 澄み渡る青い空には雲一つない冬晴れで、清々しいくらい空気が乾いていて、気持ちいい。

 少々、通りすぎていく風は冷たいけれど、それさえもなんだか気持ちよくなってくる。

 こんなに、心が満たされることがあるなんて。

 今までだって、優衣のあのエンジェルスマイルのおかげで心は満たされていた。けど、やはりっていうか、コロコロと男を変えるあたしは、結構浮いた存在で。

 まあ、大して気にしてなかったのは事実。

 優衣も優衣で、別れた後また誰かと付き合うあたしに「梨海ちゃんっ」って少し強い口調で言うけど、ずっと一緒にいてくれる。