あたしが耕太の腕を掴んで見上げている所為もあるんだけど。
かちりとはまった視線はなかなか外れなくて、しばらく沈黙が流れた。
「じゃあ」と。沈黙を破ったのは耕太。
「これ、持てよ」
そう言われて持たされたのは、喫茶店で買ったコーヒー豆の入った紙袋。
「…………もうちょっと」
「いやだね」
ふん、と。あたしから前へ視線を戻した耕太は、再び歩きだした。
行きと同じようにバスに乗り、今度はBELLの近くのバス停で下りて歩く。
やっぱり、バスの中はうたた寝しそうなほど暖かくて気持ち良かったけど、外に出れば頬を撫でる風が冷たい。
「風邪引くなよ」
隣から聞こえた声に、顔を上げれば、真っ直ぐ前を見つめた耕太の顔。
厚すぎず薄すぎない唇にすっとした鼻筋。目なんか鋭く見えて意外と優しい……気がする。
だって、何も言わずに常に道路側を歩いてくれたり。そういえば、最初よりずいぶんとゆっくり歩いてくれてる。

