ラスト プリンス



「なんでもない」

「ふーん。 で、まだ買い物終わんないってどういうことだよ。カゴ、貸せ」

「いいっ。あと、スティックシュガーだけだから」

「お前に任せたら日が暮れる」

 強引にあたしが持っていたカゴ(ついでにメモも)を奪い、確認し始める耕太。

 だから、あとスティックシュガーだけだって言ってるじゃないっ。そんなに、あたしに信用ないわけ?

「……はぁ。お前さ、裏もあるって知ってた?」

 そう言った耕太はメモをひらひらさせ、呆れた様子であたしに背中を向けて歩きだした。

「えっ?裏なんてあったの?」

 驚くあたしなんて置いて。

 それから、不思議と機嫌が回復していた(けど、嫌味たっぷりだったわ)耕太と一緒に会計を済ましスーパーを出た。