優衣のおかげで、なんとかメモに書いてあった商品を見つけることが出来たあたしは、カゴの中身とメモを確認する。
その途中、「優衣ちゃーん?」と肩くらいの黒髪を下ろしている彩織さんがひょこりと現れた。
「こんにちは、彩織さん」
「久しぶり、梨海ちゃん。たまには泊まりに来てよぉ」
「はい。行かせてもらいますねっ」
「楽しみにしてるね。じゃあ、優衣ちゃん、行こう?」
あたしと彩織さんをにこにこと見ていた優衣は、「お泊まり楽しみだねっ」と弾んだ声を残して手を振っていた。
再び、カゴの中身に視線を落とし確認し始める。
あとは、スティックシュガーだけか、と口の中で呟いた時。
「何やってんだ」と後ろから聞こえた低い声に、びくりとして、ゆっくりと振り返った。
「こ、耕太か……。ビックリさせないでよっ」
「とろとろしてるお前が悪い」
「でもっ……」
さっきの声がアイツに似てた、と言おうとしたあたしは、急いで口を閉じた。
なに言おうとしてるのよ。
だからなに、って言われるに決まってるじゃない。

