ラスト プリンス



「ほら、買ってこい」

 スーパーに入った途端、カゴとカードを渡されて、耕太は言い放った。

「あたし1人で行くの?」

「そう聞こえなかったのか?お前の頭は貧相だな」

「はあっ?!人のことをバカにしやがってっ。 いいわよ! 1人で行くわよっ!」

 ギッと睨んでから、耕太に背を向け歩きだした。

 一体全体なんなのよっ。いきなり、口調を変えて不機嫌になるし、一緒に買い物するんだと思ってれば、1人で行けとか言うし!

 あーっ、ムカつく!!

 カリカリしながら、カゴに入っていたメモ通りに品物を探していく。けど、ほとんどスーパーに来ないあたしにとって、結構至難。

「もぉう。どこにあるのよ……」

 小さく呟くあたしは、スーパーの中をうろうろ、うろうろ。……万引きと間違えられなくちゃいいんだけど。

 だいたい、買い物とかお手伝いさんがやってくれるから。って言い訳してもあれなんだけど。

 実際問題、家に帰れば華道の稽古しなくちゃだし?