ラスト プリンス



「一人っ子っぽいですよね」

「ワガママって言いたいのっ?」

「例え、兄弟がいたとしても末っ子」

「……もういいわよ」

 くるりと体を前に戻して、窓に頭を預ける。

 外気の影響でひんやりとしている窓から、冷たさが伝わってきて少しだけ頭皮が痛い。

 それでも、流れる景色へ視線をやる。

 家から抜け出せるなら、『七瀬』から逃げ出すことが出来るならば、あたしは自由になれるかしら。

 ううん。ちょっと違う。

 今の生活だって、好きなことができてるんだから、十分、自由。

 だけど、それは………。

 重たくなった瞼を持ち上げるけど、眠気からなのか、目が乾いて痛い。

 頑張ろうとは思ったけど、独特なバスの揺れに負けてしまい、あたしは夢の中へと落ちていく。


 目が覚めたのは、頭がガクンと前に倒れたため。

 欠伸を噛み締めながら、軽く伸びをしていれば、後ろから「着いたぞ」と。

 ……何が境で口調が変わるのよ。