ラスト プリンス



「ねぇ、耕太。『片割れ』って何?」

「そんなのも知らないんですか?」

「多分、聞いたことはあるんだけど、イマイチ意味が、ね?」

 はあ、と。

 わざと盛大に吐かれたため息は、あたしをバカにするもの。

 けれど、知りたいという欲求はバカにされたことをはね除ける。

「『双子の片割れ』ってよく言いません?」

 ああっ!! あたし、それなら知ってるもの。

 っていうか、誰でも知ってる言葉じゃない。

「じゃあ、耕太は双子のお兄さん?」

「そうですね」

「ふぅん。……いいなぁ、兄弟がいて」

 もう後半はひとりごとだったと思う。

 こんな冷めた男に“羨ましい”なんて思うのもおかしい話なんだけど。

 あたし、優衣、舞希の三人の中で兄弟がいるのは舞希だけ(お兄さんが二人いるのよ)だし。

 お兄さんやお姉さんじゃなくて、妹か弟がほしかったわ。

 少子化の打撃って結構なものね。