ラスト プリンス



「お待たせ。はい、どうぞ」

 お店の奥から小さな紙袋二つを持ったマスターが出てきて、それを耕太の目の前に置いた。

「ありがとうございます。梨海さん、これで会計、お願いしますね。あと、領収書も」

 返事をして受け取ったカードを、お店のレジに移動してマスターに手渡した。

「今度からよろしくお願いしますね?」

「こちらこそ、こんな美人さんと知り合いになれて嬉しいよ。 はい、カードと領収書……それから飴」

「あ、すみません。ありがとうございます」

 喫茶店だからこそなのか、コーヒー飴を二つ。

 っていうか、喫茶店でコーヒー飲むんだから、せめてコーヒー飴は避けようよ。

 入ってきた時と同じように、カランコロンと軽快な音を耳にしながらお店を出た。

「カードと領収書。それから、これもあげる。カイさんにもあげてね?」

 手のひらに乗る二つのコーヒー飴をまじまじと見る耕太。

 大して珍しいものじゃないけど、でも、ある意味珍しい、かもしれないわね。