ラスト プリンス



 それから、後ろから聞こえる指示に従い道を進む。

 BELLの前の道もそんな広いわけじゃないけど、それより少し狭くて入り込んだ道に入ると小規模なお店が軒を連ねる。

 こういう所初めて来たかも。

 下町にある商店街みたいな、テレビやドラマで見たことありそうな商店街じゃなくて。

 普通自動車一台がやっと通れるような道に、ちょこちょこ小さなお店が並んでる、そんな感じ。

 ああ、好きだなぁ……この雰囲気。

 ドラマなんかより、もっと現実味が溢れていて、それでいて心地よい。

 きっちりきっちり、時間を守って15年間生きてきたあたし。

 どうせ家を継いだって、そう長くは続かないのは目に見えてるっていうのに。

 どうせなら、こういった小さな町で、のびのびと暮らしたかったわ。

「梨海、そこの喫茶店に入ってください」

「……ここ?」

 耕太が指差したのはアンティークな店構えの喫茶店。

 ドアを引いて中に入ると、カランコロンと明るい音が響いた。