ラスト プリンス



 確か、上は胸元がざっくり開いたキャミソールにロングニットカーディガン、下はショートパンツにショートレギンス。

 優衣と買い物して映画見て、それなりの休日を過ごしてたのに、ちょうど帰るとき、アイツから電話があったんだっけ。

 まあ、次の日学校で振ろうかと思ってたんだけど、予定変更。

 後悔はしてない……つもり。

「スーツ、しわになるので離してもらえませんか」

「……え?あ、ごめん」

 無意識のまま掴んでいたスーツの裾を離して、耕太の隣に並ぶ。

 うーん……やっぱり、耕太ってカッコいい部類(容姿だけを見てってことだけど)に入るのよね。

 だって、二度見する人とか、すれ違った高校生なんかは「あの人かっこよくないっ?」なんて、きゃっきゃっと騒いでる。

「“容姿”だけは完璧よね」

「“性格”も完璧だと思いますけど」

「普通、自分で言う?っていうか、あんたのどこが性格いいのよ」

 前を向いたまま呟けば、ずいっとあたしの視界は耕太でいっぱいになった。