◇◇◇

 ピンポーン。

 どこか遠くでインターホンの音が聞こえた気がしてあたしは目を覚ました。

 眠気眼で隣を見やれば、気持ちよさそうに寝入る眼鏡なしの耕太。

 このままほっぺたをいじって遊びたい気持ちを殺して、耕太をゆさゆさと揺する。

「……こうたぁ。ピンポーンって……」

「……………うっせ」

 うるさいって、ねえ……。

 あたしが行ってあげてもいいけど、朝っぱらから首元にキスマークつけた女が耕太の家の玄関から出てきたら、お客さんびっくりしちゃうじゃない。

 それに、昨日何回も抱いたのはあんたでしょーがっ!!

「……ねぇえ」

「眠い」

「あたしも眠い」

「やだ」

「やだじゃない〜。ここ耕太んちでしょ」

 埒が開かないとは分かってるけど、なんだか楽しくてついついお客さんが来ていることを忘れてしまう。

「……耕太、起きてよ。あたしじゃ――」

 バタン。

 ……………。

 は?
 さっきバタンって。
 絶対聞き間違えなんかじゃ――

 ガチャ。

『イィィィィヤァァァアア!!』