「……俺はどうしても許せない。自分の父親を」
怒っている、というより、悲しい、といった感じの耕太の声は吐息みたい。
「愛した女とその子供を捨てることが出来る神経、俺にもある、のか?」
「耕太っ……」
その声がやたらと悲痛に聞こえ、耕太をぎゅっと抱きしめる。
だから、なのかな?
誰かに好かれることを恐れているからこそ、男女関係なくびしっと一線引いて、常に敬語なのは。
愛した人を、大切な友人を簡単に裏切ってしまうような神経が自分にあるんじゃないかって恐れているから……。
ゆっくりとあたしを引き剥がした耕太はすっと目を細めた。
「お前が泣きそうな顔するな。襲うぞ」
「………ばか」
遠慮がちにのびたあたしの手は耕太の両頬を包む。
「あと、さ。もうひとつあるんだけど」
それを嫌がることなくすんなりと受け入れ「これは大したことない」と口火を切った耕太はあたしの頭を撫でる。
「心因性味覚障害」
「え?」

