ラスト プリンス


「これでヤったことあんの?」

「う、うーるさいわねっ」

 その時のことを思い出したかのように顔が熱くなるあたしを、じとっと目を細めて見る耕太。

 「な、なによっ」と必死になるあたしを余所に「あっそ」と耕太は冷たい態度で返す。

「とりあえず、黙って聞け」

 有無を言わせぬ声音にあたしは声が出ず、コクリと頷く他ない。

「お前のことはだいたいはカイから聞いた。家が華道家ってことも、オヤジが校長でジーさんが理事長だってことも」

 ああ、やっぱり。
 カイさん、口軽いんだから、まったく。

「梨海も色々言いたいことがあるだろうけど、俺の話が先だから。 いいな?」

 再び、首を上下に動かしたあたしを確認した耕太は、今世紀最強とも思われるような、ふわりとした甘い微笑みをあたしに向けた。

 そ、そんなのズルくない? さっきからずっと耕太のペースだから、あたし吃りまくりなんですけど。

「まずは……そうだな。自己紹介からか」

 ……………。

 自己紹介ってやっぱり偽名――

「藤野耕太。大学3年」

 ――じゃないんかいっ!!

 っていうかあ! そのくらいクリスマスの時からだから、1ヶ月以上前から知って――

「歳は、26歳」

 ――なかったあぁぁぁああっ!!