ラスト プリンス


「梨海に話したいことがある」

「話したい、こと……?」

「ああ、そうだ。 その話は長くなる。だから、着替えろ」

 何がどう繋がってるのか、分からない。
 でも、耕太が異様に真剣でその話がとても大切なことだっていうのは、分かる。

 ………だけど。

「……興味のないあたしに話していいの?」

 とても大切なことだからこそ、あたしになんか話してもいいの?

 好きな人の――耕太のことを知れるのはあたしにとって嬉しいこと。

 だけど、耕太は?

 あたしに話したって、何の意味もなさないじゃない。

「興味がない? 俺の話に?」

「ううん、違う。
………耕太はあたしに興味がないんでしょう?だから――」

「んなやつに話すか」

 えっ………?

「ああ、だからか。さっき、『脱がしたかったら脱がせばいいじゃないっ!興味なんてないくせにっ』って言ったのは」

 何も言えずに俯くあたしは、左頬が熱いことに気が付いた。

 耕太の手のひら、大きいな……。

「俺"の"じゃねえからな、お前は。抱くにだけねえよ」

 ぼそりと呟いた言葉は、あたしの耳に鮮明に届いた。