翌日。

 学校帰りのあたしは、ゆらゆらと眠気を誘うバスと戦いながら、窓の景色を眺めた。

 一段と高いバスの車窓から、チェック柄のマフラーをした女の子が通り過ぎる。

 あの子のマフラー可愛かったな、とか思いつつも、目的のバス停に着いたため、授業で疲れた体に鞭を入れバスを降りた。

 このバス停から約10分。

 そこに“あのお店”はある。

 月曜日の授業はどうしてこう眠たくなるのかしら、と。

 口の中で呟きながら、脚を進める。

 目の端に見えてきた看板に、少し嬉しくなり口を緩ませると、ブレザーのポケットが揺れた。

 再び、欠伸を噛みしめ、携帯を取り出すと、新着メール1通。

 それは、親友のひとり優衣(ゆい)から。

 優衣は、小学生の頃からの親友で、あたしとは真逆の女の子の中の女の子。

 ふわふわとした胸辺りまである黒髪に、ベビーフェイス。

 おまけに、優柔不断で純情で、ほっとけない存在。

 あともうひとり、親友がいるんだけど、彼女は今アメリカに住んでいる。

 優衣のメールに返信し、携帯をポケットにしまったのと同時くらいに、『ブライダルドレス BELL』の前に着いた。