ペラペラと無愛想な顔して、いかにも俺様みたいな方が素だってことくらい。

 分かってるのに、無性に聞きたくなった。

 耕太の無邪気に笑ってる姿なんて見ちゃったら、そっちの笑顔の方が素に見えてきたんだもの。

「どれって……。“どっち”じゃなくて?」

「うん。敬語でニコニコしながら平気で毒を吐くのと、無愛想で俺様なのか、それと……」

「3つ目なんてあるの?」

「さっきみたいにケタケタ笑ってるのとでは、どれが素?」

「お前――梨海って面白いヤツだな」

「それはどうも。誉め言葉として受け取っておくわ」

 ふっ、と。

 意地悪く口角を上げた耕太は、おもむろにあたしの頭を撫でた。

「“賭け”楽しみですね」

 と敬語バージョンでそう言った耕太を下から見上げれば、眼鏡の奥の瞳がキラリと一瞬の輝きを見せた。

 あたしはこの賭けで、こいつの素を暴いてやろうと、心の中で小さく決心した。