ラスト プリンス



 ってことは、ガーデニングが趣味とか?

 それか、ガーデニングが趣味の人が身近にいると――

「そこのおっさーん!」

 心底楽しそうな声で、俺の思考回路をぶったぎったヤツは、デスクの上に両肘を立て、両手で両頬を包み笑顔をこちらに向けていた。

「あんたに言われたくない」

 だよねー、と軽く答えたカイは、欠伸を噛み締める。

 その姿は、カイが初めてそのイスに座った時と同じ表情だった。

 親同士、仕事でもプライベートでも仲が良かったからか、小さいときからカイとは知り合い、っていうか親友に近い存在なのかもしれない。

 ユキや前社長の香保里さんがここをどれだけ大切にしてきたかなんてこと、身に染みて分かってた。

 だからこそ、嫌悪感もなく自分の母親の仕事を継いだし、ユキや香保里さんたちと同じような関係にカイとなっている。

 小さいときから知ってるからか、こんなんが社長で平気かよ、と何回思ったことか。

 でも、それは俺の偏見に過ぎなかった。