「なっ!! ギリギリ放送禁止って何よ! 花も恥じらう高校生様よーっ?!」

「ギリギリはギリギリだって言ってんだろ。 それに、お前なんかにわざわざ花も恥じらうわけがねぇだろ」

「何でデッドボールなの? せめてフォアボールくらいにしてっ」

「はあ? お前、根本的にズレすぎてて話になんねー。 一児の父親がこんなんで大丈夫なのかよ」

 わあわあ過ごすこの瞬間(とき)が、どれだけ幸せだったかなんて、分からない。

 分からないほど、幸せ、だったの。

 例え、どんな関係だとしても、好きな人の側にいたいって思うのは、恋する乙女の特権だと思ってた。

 なのに………っ。

 それすらも、叶えられないの?

 恋って、甘くて苦いものなんでしょ?
 なら、なんで、あたしの恋はちっとも甘くないのよ……。

 せめて、最後の恋くらい、とびきり甘くて、胸がキュンってなるようなのを、したかったな。

 自室で泣いていたあたしは、ふと、母の言葉を思い返した。


 BELLから帰ってきたあたしを、一番最初に迎えたのは、お手伝いさんではなく、母、だった。