香ばしいコーヒーの香りに包まれながら、デスク周りにあるゴミ箱を空にしていく。

 やっぱりカイさんのゴミ箱には、描きかけのドレスのデザイン画がくしゃくしゃになって捨ててある。

 十分綺麗だと思うのはあたしが素人だからなのかな?

 大きなゴミ袋を引きずりながら、耕太のデスク周りのゴミ箱を持ち上げた。

 トントンとゴミ箱の底を叩いていると隣から「コーヒー」と一言。

「はい。 カイさんは?」

 耕太から視線をカイさんに移せば、カイさんはデスクから顔を上げて微笑む。

「じゃ、僕も」

 二つ返事でサーバーからコーヒーをマグカップへ注ぐ。

 トポトポと響く音に思わず頬が緩んでしまうのを感じながら、マグカップをおぼんに乗せた。

 ありがとう、ときゅんきゅんきちゃうような輝く笑顔のカイさんにマグカップを渡す。

 はあぁ……。 とけちゃいますって。

 甘いため息を付きながら、耕太のデスクにマグカップを置く。

「遅い」

「冷めてないから大丈夫」

 耕太のデスクからカイさんのデスクは少し離れていて、そこから見るカイさんは、素敵。