ラスト プリンス


 すっと視線を膝の上に乗せてある手に落とした。

 あたしってホントに軽い女なのかも。

 そういえば、昔の彼にも『やっぱりお前は軽い女なんだな』って言われたっけ。

 あたしとしては、一途のつもりなんだけど。

 やっぱり、4ヶ月付き合った男と別れた日に違う男が気になるって……。

「顔、上げてもらえますか?」

「……あ、はい」

 視線と共に下がっていた頭を上げて鏡を見ると、目を細めている藤野耕太とかちりと視線があった。

「何かご不満ですか?」

「別にっ……」

「そうですよね。俺の技術に不満があるわけないですよね」

「ムカつくほど自信満々ね」

 ふ、と鼻で笑ったあと、ぐいっと藤野耕太があたしの顔を覗きこんだ。

 さっきまで鏡越しだったから、余計驚いて体を強ばらせた。

「意外と警戒してるんですね」

「どういうことよっ」

「来るもの拒まずっていう感じがあったので」

「……そんなわけないじゃないっ」

 強く言い放ったつもりでも、やはりそう見えるのか、とショックが大きい。

 だいたい、初対面の人にも言われるって相当よね……。