このままじゃ、キスの前に目がよっちゃってクラクラしちゃうわ。
「俺、気弱な女はまあまあ好きだけど。 ほら、俺に逆らわないし」
「気弱っていうより従順ね。……それって犬じゃないの?」
「確かにな。 お前は猫派だろ」
大分話の筋がずれてるのを忘れそうなくらい、無駄話が楽しくて。
なんとなくコクリと頷いたあたしを見て耕太は満足気な表情を顔いっぱいに浮かべた。
「ほらな。 絶対、気紛れで振り回されたいタイプだろ」
さぞ楽しそうに、口元を緩ませはっはっと笑う耕太がなんだか可愛らしくて。
くしゃり、と。
いまだ耕太の頬にあった手で、耕太の髪の毛を撫でた。
この顔、あたしだけに見せて。
思わず零れそうになった言葉に、はっとした。
どうしちゃったのよ、梨海っ。 何があったの? やっぱ心の問題? 心理カウンセラーとか受けたほうがいいのかしら。
動揺が隠し切れない状態に陥ったあたしは、とりあえず「そんなわけないでしょっ」とくすりと笑ってみせた。

