「ここはカイの店。俺が目立ってどうするんだよ。 社長の裏で社長がやりやすいように支えながら、俺もしっかり仕事をする。 ただ、それだけ」
「でも、だからってそこは耕太が目立ってもいいんじゃない? カイさんにはカイさんの目立ち方だってあるんだし」
「俺は目立ちたくない。 俺がやらなきゃいけないことは、ここをしっかり守ること」
でもっ……おかしいよっ。
「……あたしはっ」
ぺちんと軽い音とともに耕太の両頬を包み、じっと眼鏡の奥の瞳を覗く。
こんな優しい瞳をしてるのに。
こんな優しい顔するのに。
「耕太が誤解されてるままじゃいやっ」
どうしても嫌なの。
このまま耕太が嫌われてるなんて。
視線がかちりと合ったまま、静かに時間が過ぎていく。
すっと耕太の大きな手がのびてきて、あたしの頬を親指で拭った。
「めんどくせぇから、泣くな」
「……何よ。女の涙には弱いの?」
「んなわけねぇだろ。今まで何人の女泣かせてきたと思ってんだよ」
「ウソつき。 泣かれるんじゃなくて怒鳴られるんでしょ? 気弱な女、嫌いそうだもの」
クスクス笑うあたしに顔を寄せる耕太も少しばかり目を細めて笑ってる……ように見える。
だって、顔近すぎなんだもん。

