「僕がやったことになってる。耕太がそうやって裏で手を回して、その4人を送り出したこと」
「……どうして?」
「さあ。耕太がやったって言えば良いのにね。 辞めろって言われた人たちは、社長室に行くように言われて、ここで僕から新しい職場を紹介される。 まるで、耕太の不始末を片付けてるみたいにね」
そんな……。
わざと、よね? 自分が嫌われるように仕向けたとしか思えないもの。
だいたい、無表情で冷酷で傲慢だなんて耕太の一部分にしかならないじゃないっ。
あんな子供みたいに笑った耕太を見れば、誰だってそう思うわ。
「耕太がクビにしたのは全部で13人。残りの9人は耕太と折りが合わなくてね」
ははっと軽い笑い声を上げて椅子ごと回るカイさんは「そうそうっ」とぴたりとあたしの前で回転を止めた。
「その話聞いたの受付の遠藤さんでしょ? だったら、ちょっと勘違いしてるかな。 ほら、そのデザイナー志望の4人と折り合いが合わなかった3人が辞めたときは遠藤さんが入る前だから知らないはず。……なんだけど」
「……なんだけど?」
「ほら、噂って結構捻れて伝わることってあるじゃん。だから、折り合いが合わなかったのは3人じゃなくて、7人として伝わって、その後の6人も同じ風に伝わった。 で、梨海ちゃんにもそういう風に伝わったわけ」
その後、折り合いの合わなかった9人の人達は、化粧が濃かったり、カイさんのデザインに文句を言ったり。
別に僕は気にしないのにね、と欠伸をしながら呟いた。

