なるべく不信感をかき消し、遠藤さんに微笑みその場を去った。
ほ、ほら。たまにあるじゃない。 家の固定電話から友達に電話かけようとした時、受話器を取って番号押す前にその友達に繋がった、だなんて!
別に遠藤さんに予知能力があったてしてもあたしに何の害はないんだけどっ。
あたしを見て今後を予知されちゃ困ることがありすぎるのよね。
だって、家のこととか、お見合いのこととか、結婚のこととか。
階段を上がり社長室に入ると、ちょうどカイさんが欠伸をしているところだった。
「お疲れ様です」
「変なところ見られちゃったな」
「コーヒーお願い」とカイさんは少し恥ずかしそうに笑いながら言った。
社長室にはあたしとカイさんの二人だけ。
カイさん専用のコーヒーを、カイさんのデスクに置けば、「ありがとう」と屈託のない笑顔。
ほんの少し。
ほんの少し、耕太のことが気になった。
ムカつくことを言ってくるけど、そんな『嫌い』とまではいかないんだもの。
「……あの。 何で耕太は、誰かをクビにできるんですか?」
恐る恐る、カイさんの表情を伺いながら慎重に言葉を発すれば、キョトンとした表情が返ってきた。

